丹羽太左衛門 博士
日本養豚学会 名誉会長
平成28年6月24日逝去
享年100歳 滋賀県出身
1936年農林省畜産試験場に奉職。農学博士(東京大学)
農業技術研究所家畜部繁殖科研究室長、米国ミネソタ大学客員研究員、繁殖科長、1965年以降信州大学教授、岩手大学教授(母校)、東京農業大学教授、同大学院指導教授を歴任され、定年退職後は岩手大学名誉教授、東京農業大学客員教授、を歴任し、豚に関する試験研究、教育、技術指導に従事された。主な業績は「豚の繁殖ならびに育種に関する研究」で、繁殖部門では雄豚および雌豚の繁殖生理、人工授精に関する研究、育種部門では「わが国における豚の産肉能力検定の実施方法に関する研究」等である。また、産肉能力検定実施方法の基礎試験終了後、事業の全国的実施に向けた豚産肉能力検定研究会の結成に尽力された。検定研究会の任務終了と同時に、全国養豚研究者・技術者の熱望に応え日本養豚研究会(現、日本養豚学会)の設立に尽力された。日本養豚研究会長(1966~1987年)、日本養豚学会長(1987~1992年)としての会の基盤擁立、発展に尽力された。この間に、国内のみならず米国・ソ連・キューバ・シンガポール・ミャンマー(旧:ビルマ)・中華民国(台湾)・韓国・中国など諸外国(政府、FAO)の要請により豚の繁殖、人工授精の技術指導を行い、国際学会へも日本代表として度々出席し、研究発表、座長として活躍された。「第4回国際家畜繁殖・人工授精学会」(1961年オランダ・ハーグ開催:参加国54カ国)の総会における基調講演「豚の人工授精の研究と実績」と、第4回国際養豚獣医学会議IPVS(1976年、米国アイオワ州立大学:参加国40カ国)の総会における基調講演「東洋の豚肉生産について」は特筆すべき事項であった。
また、日華(中日)養豚研究会議、日中(中日)養豚学術交流事業の締結・実施、国際シンポジウムを開催され、現在の養豚学会の国際交流の基盤を構築された。農水省畜産振興審議会特別委員(内閣)、日本種豚協会(現・日本養豚協会)、日本食肉格付協会等の各種委員、全日本豚共進会(第7~10回)審査委員長、日本畜産学会、日本繁殖生物学会等の名誉会員として活躍された。
日本農学賞、読売農学賞、日本農学研究所賞、農林大臣功績賞、西川畜産奨学事業団賞、紫綬褒章、勲二等瑞宝章を受章。
諸外国からも顕彰を受けてこられた。イタリア畜産学進歩賞、イワノフ教授生誕100年記念賞など
著書、研究論文は多数であり、代表的な書籍に「養豚ハンドブック」(養賢堂)がある。
日本の技術力の高さを海外に知らしめると共に卓越した学識と豊富な経験、広い視野から後進の指導にも貢献した。
日本養豚学会創立40周年記念号における名誉会長の紹介〔故人執筆〕改筆